「回数券の有効期限、何ヶ月にすればいいですか?」

個人店舗のオーナーからよく聞かれる質問だ。短すぎるとお客様に不満が出る。長すぎると経営上のリスクが生まれる。正解はどこにあるのか。

今回は有効期限の設定について、法律・経営・お客様の視点から具体的に考えたい。

まず知っておくべき法律の話

回数券には「資金決済法」という法律が関係する。

難しく聞こえるが、要点はシンプルだ。有効期限が6ヶ月を超える前払い式の回数券を発行する場合、未使用残高の半分を法務局に供託(お金を預ける)する義務が生じる可能性がある。

たとえば10回券を5,000円で100枚販売した場合、未使用残高は最大500,000円になる。その半分の250,000円を供託しなければならないケースが出てくる。

個人店舗にとって25万円を供託するのは大きな負担だ。

そのため、マタキテ・パスでは有効期限を最長150日(約5ヶ月)に設定している。6ヶ月より30日短くすることで、法的なリスクを回避しながら十分な期間を確保している。

有効期限が短すぎると何が起きるか

「法律の問題があるなら、1ヶ月にしよう」と考えるオーナーもいる。しかしそれは逆効果だ。

たとえば月1〜2回来店するお客様に10回券を販売したとする。月2回来店しても5ヶ月かかる。有効期限が2ヶ月なら、使い切る前に期限が来てしまう。

使い切れないとわかっている回数券は買ってもらえない。せっかくの回数券制度が機能しなくなる。

有効期限が長すぎると何が起きるか

逆に有効期限を1年以上に設定するケースもある。しかしこれも問題だ。

経営上のリスク:10回券を5,000円で販売して、1年後に使われた場合、その時点での原価や人件費が上がっていても、販売時の価格でサービスを提供しなければならない。仮に1年間で人件費が10%上がっていたとすると、実質的に値引きして提供していることになる。

未使用残高のリスク:有効期限が長いほど、未使用のまま積み重なる回数券が増える。100名のお客様が平均2,000円分の回数券を持っているとすれば、未使用残高は200,000円だ。これが突然一気に使われると、キャッシュフローに影響が出る。

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来店頻度から逆算する

有効期限の正解は、お客様の来店頻度から逆算すると見えてくる。

月1回来店するお客様に10回券を販売するなら、使い切るのに10ヶ月かかる。有効期限を150日(5ヶ月)に設定すると、月2回以上来てもらわないと使い切れない計算だ。

この場合は10回券ではなく5回券にして有効期限を90日(3ヶ月)にする方が合理的だ。お客様にとっても使い切りやすく、店舗にとっても管理しやすい。

業種別の目安はこうなる。週1回来店(ジム・習い事など)は10回券・90日が目安。月2〜3回来店(サロン・整体など)は10回券・120〜150日が目安。月1回来店(特別なサービスなど)は5回券・150日が目安だ。

有効期限切れのトラブルをなくす方法

有効期限を設定すると、必ず「期限が切れていた」というトラブルが発生する。

お客様は期限を覚えていない。久しぶりに来店して回数券を出したとき、すでに期限が切れていた。「知らなかった」というお客様に「使えません」と言うのは、心苦しい。

このトラブルを防ぐには、期限が近づいたときにお知らせする仕組みが必要だ。

マタキテ・パスでは有効期限7日前・3日前にお客様へ通知メールを送る機能を実装予定だ。「もうすぐ期限が切れますよ」と事前にお知らせすることで、トラブルを未然に防ぐ。お客様にとっても、来店のきっかけになる。

まとめ

有効期限は「お客様が無理なく使い切れる期間」に設定するのが基本だ。来店頻度を把握していれば、自然と正解が見えてくる。